News Release 

結合前の情報だけで、結合後の性質を高精度に予測

~化学反応や触媒の予測への応用に期待~

Institute of Industrial Science, The University of Tokyo

Research News

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IMAGE: Researchers from The University of Tokyo Institute of Industrial Science report a machine learning-based model for predicting the bonding properties of materials view more 

Credit: Institute of Industrial Science, the University of Tokyo

東京大学 生産技術研究所の溝口 照康 教授、東京大学 大学院工学系研究科 修士課程2年の鈴木 叡輝 大学院生(研究当時)、東京大学 生産技術研究所の柴田 基洋 助教らの研究グループは、化学結合を高精度に予測することができる記述子を発見しました。

原子が他の原子や、分子、固体表面に近づくと、それぞれが持っている軌道が相互作用し、時としてお互いの電子を共有・移動し「化学結合」が形成されます。お互いの原子の大きさや、共有・移動する電子の量によって、化学結合の強度や距離が決まります。化学結合の形成は、吸着や化学反応のきっかけとなるため、その理解は物質開発において重要です。

一方で、化学結合の強度や距離などの結合物性は、結合をつくる原子―原子、原子―分子、原子―固体などの組み合わせによって異なります。結合物性を知るためには、結合のモデルを作成し、計算機を使って数分から数時間かけてシミュレーションする必要があります。さらに、さまざまな種類の結合物性を知るには、それらすべてに対して同様なシミュレーションを行う必要があります。

そこで、そのようなシミュレーションを行わずに、結合する「前」から得られる情報だけで、結合物性を予測するための人工知能の構築を目指しました。本研究では入力層と出力層が脳を模した多層のネットワークでつながれている「ニューラルネットワーク」を利用しました。結合する「前」の情報だけで、化学結合を予測する人工知能を構築することを目指し、入力データに、結合する「前」、つまり原子や分子が孤立している状態の情報を、出力データに、結合した「後」の結合物性を利用してネットワークを築きました。

本研究では、結合を形成する原子、分子、固体の個々の状態、つまり結合する「前」の状態における状態密度を入力データに用いることで、結合物性を高精度に予測できることを明らかにしました。このことは、結合する「前」の状態密度が、結合物性を予測するための優れた記述子であることを示しています。また、原子―原子に加えて、原子―分子、原子―固体の結合強度、結合距離、フェルミ準位、共有結合電荷を高精度に予測するモデルを構築することに成功しました。

同成果の概念図を図に示します。本研究では、人工知能技術により、様々な化学結合を高速かつ高精度に予測することに成功しました。化学結合の形成は、吸着や化学反応などのきっかけとして重要です。そのような化学結合を高精度に予測できる記述子を発見した本研究により、物質開発が加速できると期待されます。

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本研究成果は令和3年7月19日に日本応用物理学会の速報国際誌の「Applied Physics Express」オンライン版に掲載されます。

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